映画はもう、スタジオじゃなく、あなたのデスクから生まれる
これは、すべてPCとAIだけで作った映画です。
今、AI技術の革新によって、映画制作は誰にでも開かれた世界になりました。
このシリーズでは、私が72日間でAI短編映画『MERGE』を完成させた全貌をお伝えします。
なぜ、今AIで映画なのか?

いわゆる映画の撮影現場といえば、何を思い浮かべますか?巨大なカメラ、眩しいライト、何十人ものスタッフが忙しく動き回る光景…。
私も長い間、そんな「遠い世界」だと諦めていました。
従来の映画制作 vs AI時代の映画制作
従来の映画制作に必要だったもの | AI時代の映画制作に必要なもの |
---|---|
膨大な予算 大勢のスタッフ 高価な機材 撮影場所の確保 役者のキャスティング | PC 1台 AI生成ツール アイデアと情熱 基本的な編集スキル |

でも、AIの登場により状況が一変しました。これにより、自宅の部屋が映画スタジオに変わる時代がやってきたのです。
72日間チャレンジのはじまり

50歳を過ぎて決意した理由
私自身、長い間「いつか映画を作れたら…」とぼんやりとした夢を抱いていました。
しかし50歳を過ぎ、AIの急速な進化を目の当たりにして、ある日の深夜、心の中で叫びました。
「今やらなきゃ、一生やらんぞ!」
そこで以下のように決めて、AIでの映画制作を開始しました。
- 1日5時間、週6日のペース
- 72日間で5分間の短編映画を完成
- PC + AIツールのみで制作
- 個人の仕事も調整して本気で取り組む
使用したAIツールと制作ワークフロー

主要ツール一覧
今回の制作で使用した主要AIツールたち。
ツール | 用途 | 特徴 |
---|---|---|
Daz3D | リファレンス画像制作 | 3DCGで一貫したキャラクター・背景を作成 |
MAGNIFIC | 画像アップスケール | 3DCG画像を実写風にクリエイティブ変換 |
Runway Gen-3, KLING | 動画生成 | 静止画から動画への変換 |
VoicePeak | 音声合成 | 日本語セリフの生成 |
Adobe Premiere Pro | 編集 | 最終的な映像編集・映像調整 |
制作ワークフロー
実際の制作ワークフローは以下の通りです。
最初は「とりあえずMidjourneyで画像を作って、それを動かせばいいでしょ?」なんて甘く考えていたんです。でも現実は甘くない。
画像生成AIで作ったキャラクターは、カットが変わるたびに顔が変わってしまう。背景の一貫性も保てない。これでは映画になりません。
試行錯誤の末、辿り着いたのがこのDaz3D中心のワークフローでした。3DCGなら、どのアングルから撮影しても同じキャラクターや背景を維持できる。これが決定打でした。
実際に完成した作品『MERGE』の詳細

あらすじ
IT企業で働く佐藤美咲が、同僚の不審な行動を監視カメラで発見。情報漏洩事件に巻き込まれながらも、意外な人物の正体と、さらに意外な結末が待っている5分間のサスペンス・アクション。
「普通のOLが主人公のサスペンス」というコンセプトは、実は制作上の制約から生まれました。
派手なアクションシーンは、AI動画生成では破綻しやすい。だったら、緊張感のある室内劇中心で勝負しよう。そんな「制約を活かした」ストーリー設計だったんです。
制作規模
- 総カット数: 約80カット
- 制作期間: 72日間(実際は75日)
- 総制作時間: 約360時間
- シーン数: 9シーン構成
このシリーズで学べること
この72日間チャレンジシリーズでは、以下の実践的なスキルを段階的に解説していきます:
📋 企画・設計編(Step 2-7)
Step 2: 設計図の描き方〜成功する計画術
Step 3: 1カットの制作ワークフロー完全解剖
Step 4: ツール選定の決定的理由
Step 5: ChatGPTでシナリオを書く方法
Step 6: ChatGPTでショットリストを作る方法
Step 7: 絵コンテはポンチ絵でOKな理由
🎨 制作技術編(Step 8-27)
Step 8-12: Daz3D完全マスター(基礎〜応用)
Step 13-14: 画像のアップスケール・修正技術
Step 15-20: AI動画生成の実践テクニック
Step 21-24: 音声・サウンドデザイン
Step 25-27: 編集・仕上げ技術
🎬 総括編(Step 28-30)
Step 28: 映画っぽく見せる演出技法10選
Step 29: 実際にかかった費用の詳細公開
Step 30: 全て終えてわかったこと
まとめ:映画制作の民主化

誰でもクリエイターになれる時代の到来
72日間を振り返って、一番感じるのは「時代が変わった」ということです。
映画制作が、一部の才能ある人や資金力のある人だけの特権ではなくなりました。AIという新しい道具を手に入れることで、誰でも自分だけの物語を映像として表現できる時代が到来したのです。
もちろん、まだまだ課題は山積みです。AIの限界もあるし、学習コストも決して低くはない。でも、それを差し引いても「やってよかった」と心から思います。
この記事を読んでいるあなたも、きっと心の奥底に「作ってみたい映像」があるはず。
- 子供の頃に想像した冒険物語
- 昔書いた小説の映像化
- 家族の思い出を映画風に
- 商品のプロモーション動画
そんな「頭の中にある空想」を「現実の映像」に変える技術は、もうあなたの手の届くところにあります。
さあ、一緒に映画を作ろうぜ!
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